先週、ソウルで開催された日韓スタートアップ交流会に参加してきました。現地で事業を展開する日本人経営者からは、為替や規制の変化に加え、意外にも「人材確保のコスト感覚」についての相談が相次ぎました。韓国市場は確かに成長著しいですが、進出を考えるなら、数字を日本と並べて冷静に見る必要があります。
今週注目すべきは、韓国における「人件費の上昇ペース」です。韓国統計庁(KOSTAT)の2026年3月発表データによると、韓国の2025年平均月間現金給与総額は437万ウォン(約47万円、1ウォン=0.107円換算)でした。これは前年比で4.2%増です。
比較対象として日本のデータを見てみましょう。厚生労働省「毎月勤労統計調査」の2025年平均月額現金給与総額は32万9800円でした。単純な金額比較では韓国の方が高いですが、重要なのはその内訳です。韓国では住宅手当や家族手当などの固定的手当が給与に含まれる割合が日本よりも高く、また、大企業と中小企業の給与格差が日本以上に大きいという特徴があります。ソウルと地方都市では、同じ職種でも給与が30%以上異なるケースも珍しくありません。
この数字が意味するのは、韓国進出における「採用戦略の見直し」の必要性です。日本感覚で予算を組むと、特にソウル圏では想定以上の採用コストがかかる可能性があります。一方で、地方都市に開発拠点を置くなど、地理的な分散を図ることで、人件費を最適化する動きも増えています。
また、給与以外のコストも考慮が必要です。韓国の法定社会保険料(国民年金、健康保険、雇用保険、労災保険)の労使負担合計は給与の約20%前後と、日本(約30%前後)と比べると企業負担はやや軽減されますが、退職金に相当する「退職給与引当金」の積み立て義務(勤続1年超)は実質的なコストとして計上しなければなりません。
今週、韓国市場を検討する経営者が取るべき3つのアクションは以下の通りです。
数字の表面だけを見るのではなく、その背景にある制度や地域差を理解することが、韓国での持続可能な事業運営の鍵になります。
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