目を開けた瞬間、高城蓮は自分が見知らぬ草原に横たわっていることに気づいた。頭上には二つの月が浮かび、空気には微かに甘い花の香りが混じっている。最後の記憶は、渋谷のスクランブル交差点で突っ込んできたトラックのヘッドライト──。
「……死んだのか、俺」
ポケットに手を入れると、愛用のスマートフォンが無事だった。画面をつけると電波は圏外だが、バッテリーは満タン。しかも減る気配がない。アプリを開くと、見たことのない「魔法辞典」というアイコンが追加されていた。タップした瞬間、脳内に膨大な知識が流れ込んでくる。
遠くの森から狼の遠吠えが聞こえた。蓮はスマホを握りしめ、立ち上がった。生き延びなければならない。この世界のルールを理解し、帰る方法を見つけるために。