シェアハウスの生活リズムが噛み合わないまま二週間が過ぎた。一颯は朝型、泉は夜型。一颯はミニマリスト、泉は楽譜と機材で部屋が埋まっている。
ある夜、一颯のプログラムがバグで動かなくなった。苛立ちながらリビングに出ると、泉がヘッドフォンをして作業していた。画面を覗くと、音の波形が整然と並んでいる。
「それ、プログラミングに似てるな」 「え?……ああ、まあ音楽も論理構造だから。ここの和音進行、アルゴリズムみたいなもんだよ」
その夜、二人は初めてまともに会話した。泉が作りかけの曲を聴かせてくれた。一颯はそのメロディに、自分が書くコードの美しさと同じものを感じた。
「なあ、この曲をビジュアライズするプログラム、書いてみていいか?」 泉の目が光った。「面白いね。やってみてよ」